少し時間を置いて、外からも同じサイレンが流れた。町全体がこの不気味なサイレンに包まれる。

 街頭放送のサイレンは、今回が初めてだった。

『これ、マジでミサイルが飛んでくるっていうサイレンだよ』

「えええっ!」

『俺達がまだちっちゃい頃、北朝鮮からミサイルが飛んできた時、この音が鳴った!』

「よくそんなこと覚えてるね!」

『俺、記憶力いいから。そんなことより、窓から離れないと!』

「え、どうすればいいの?」

 訳もわからず、不気味なサイレンが鳴り続ける中、私は頭が真っ白になった。

『綺羅、ラジオを持って、おばあちゃんと窓のない場所に逃げて。一度電話を切るよ。大丈夫、また明日話そう』

「優理君、明日、絶対に声を聴かせて!」

『わかった』


 電話を切って、すぐにどうすれば良いのか考える。

 まずは、自分とおばあちゃんの身の安全を守るのが最優先。

 おばあちゃんは何があっても私が守る。絶対に。