優理君とは相変わらず毎日電話で話している。最近は勉強の話が少し増えたかも知れない。

 理数系に強い優理君は、説明も上手だった。

 お蔭で宿題だけではなく、教科書のまだ習っていないところまで学習が進むこととなった。こんなことは、普段通りの生活をしていたらあり得ない。

 ただ、優理君にも弱点があった。

 私もひとのことは言えないけれど、英語が苦手だそう。わからないところを聞いてみたら、優理君は珍しく口ごもってしまった。

『ちょっと話せない。航に聞いた方が早いし正確だよ。俺はいつも航に聞いてる』

「もしかして、答えはわかるけど発音したくないってこと?」

『最後まで言わせないで欲しいんだけどその通りだよ』

 ……そう、電話で英語の勉強を教えてもらうということは、当然ながら発音してもらわないとわからない。

 それがどうやら苦手らしく、帰国子女の松本君にはかなわないと言っているのだった。