「そうだったんだ。でも、優理君が一番困ってしまうよね」
『それがさ、俺は自分が養子だって知ってたし、今更っていう気がしてた。ただ、今の両親が俺のことを真剣に考えてくれていたんだって知って、嬉しかった。ああ、俺、まだこの家に居てもいいんだって』
私はまだ、この家に居てもいいのかな……。
おばあちゃんに迷惑をかける一方の私は、いつまでここに居させてもらえるのかな。そう思ってずっと生活していた。
優理君も同じだったのだ。
「前に言ってたよね。自分が与えられた環境は自分で努力して得たものではないって。このことだったんだ」
『ああ。たまたま運よくこの家にもらわれたけれど、弟と妹が生まれて、俺の存在意義はもうなくなったんだなって思ってた。両親もやっぱり血のつながった弟と妹が可愛いだろうし、赤の他人である俺が後継ぎにはなれないって知ってても、医学部目指して勉強してる時点で、まだ両親から期待されたいっていう意識が強いんだろうなって』
「ご両親には、養子だって知ってたこと、伝えたの?」