窓の下に広がる伸び放題の雑草も、エネルギー不足をあざ笑うかのように元気いっぱいだ。
市が定期的に草刈りをしてくれていた市営住宅周りの土手の芝生は、燃料節約のため、七月から一度も刈り取られずにいる。
高齢化した市営住宅の住民が自分たちで刈るには範囲が広すぎて、諦めているのが現状だ。
雑草の生い茂る土手の細い道を、おばあちゃんがゆっくりと上ってくるのが見えた。
このまま外に飛び出したくなる気もちを抑えて、私はアパートの玄関の端っこぎりぎりで腕を伸ばして待ち構える。
おばあちゃんがはあはあと息をきらして、私の手に買い物袋を握らせた。
「おかえりなさい。いつもありがとう」
私の言葉に返事もできないほど疲れ切っているおばあちゃんだったけれど、にっこり笑ってくれた。
早くこの状態が終わることを願って、階段を上った。
夕食を済ませ、いつも優理君が電話をくれる時間になった。
電話の前でじっと待ち構えていると、待ちに待ったベルが鳴る。
