「何回くらい転校したの?」
『小学校は四校、中学校は日本人学校も合わせて二校。高校生になった今なら、もし今後父が異動することになっても、下宿することができる。だからやっと、卒業まで居られる学校が高校って訳』
「……それは凄いね」
『まあね。だから、中学で優理に逢った時、絶対同じ高校へ行こうと思ったんだ。こいつだったら、一生友達でいてくれるんじゃないかって』
中学校時代から仲の良かった二人。成績トップを争う、良きライバルという感じだった。
松本君は何でもそつなくこなすタイプだけれど、壁があるような感じで、いつまで経っても転校生、という位置づけだったことを思い出す。
この地域には珍しい、日本人学校からの転入、ということもあったからかも知れない。
転入して一年ちょっと、優理君を仲介して、松本君も少しずつ周りに馴染んだところで中学校を卒業してしまったので、高校時代の今、ようやく「いなくなってしまう」心配なしに友達と付き合えるのだと言った。
