次の日の昼過ぎに、電話が鳴った。
 慌てて出てみると、松本君からだった。

『あ、何か明らかにがっかりしたような声出してる』

「そんなことないよ」

『ふうん、ま、いいけど。本題に入るよ』

「うん。お願いします」

『優理はお父さんと一緒に病院で泊まり込みだったらしい』

「……そう、だったんだ。病院のお手伝い?」
『ああ。詳しくは本人が語ってくれるだろうけど、あいつも見えないところで苦労してるんだなっていうのが分かった。あいつの苦労、というより、今回はご両親の苦労って言った方がいいのかも知れないな』

「そっか。色々ありがとう。松本君、ごめんね。何か私、かなり迷惑かけちゃったんでしょ?」

 昨日は後ろで大騒ぎしていた松本君のお母さんと妹達の声が、今日は聞こえない。

『ああ、それなら大丈夫。父が母にそっとしといてやれって言ってくれたらしい』

「……それって、ある意味誤解は解かれていないのでは?」

『いいよもうめんどくさい。それより、優理のこと、頼むな』