『もしそうだったとしたら、きっと掛け直してくれるから大丈夫。それより相手が俺だと知ったら、嫉妬されるんじゃないだろうか』

「それはないから大丈夫」

 私が笑いながら即答すると、松本君も笑って言った。

『さっきより元気な声になったね。やっぱり安本さんの声、いいよね』

「お世辞でも嬉しいよ。それと、話を聞いてくれてありがとう。何か、優理君以外の人と電話で話すのも新鮮でいいかも」

『それは良かった。じゃあ、また明日』

「ありがとう。明日、待ってるね」


 受話器を置いて、大きな呼吸をひとつ。

 少し不安が軽くなったけれど、やっぱり優理君のことは心配だった。

 明日、松本君が電話をくれるか、それともまた優理君が電話をくれるのか、どちらにせよ私には待つほかなかった。