「若々しくいられるのは良いことだと思うよ。松本君のイメージとちょっと違うけど」
年の割に落ち着いている松本君のお母さんだから、もっとしっとり、もしくは厳しい感じの人を想像していた。
実際には私より気もちが若い人なのかも知れない。
『ところで、何か用事があったんじゃない? ようやく掛けてくれたってことは、よっぽど大事な要件なんだよね?』
さすが松本君、私の行動をすっかり見抜いている。だとしたら話は早い。
「優理君から電話が来なくなったの」
『いつから?』
「秋分の日から、だったから、もう三日目。今までは毎日掛けてくれたのに」
『……もしかしたらあの日からずっと続いていたってこと?』
「うん。外に出られなくなってから毎日。優理君から掛けてくれてたの」
やや、間があったような気がする。それから、さっきより笑いを含んだ声で言われた。
『……知らなかったよ。まさか君からそんな話を聞くなんて。愛されてるな』
「いやいやいやいや、それは誤解だと思うから」
『毎日、想われてたってことは事実だ。凄いな』
