頭の中で色々シミュレーションすればするほど、悪い方へと考えが向かってしまい、頭を抱えた。

 電話に出た相手がもしお父さんだったら、更にしどろもどろになることが確定する。

 ダメだ、自分から電話をするなんて、ハードルが高すぎる。

 改めて考えてみたら、優理君が毎晩電話をくれたのだって、実はかなり勇気がいることだったのではないだろうか。

 我が家の場合は、確実に私しか出ないだろうと思っているから掛けやすかったかも知れないけれど、もしかしたらおばあちゃんが出るかも知れないって考えただろうし。

 スマホに慣れてしまった今、電話を誰かに取り次ぐという面倒なこと自体が減っていたから、固定回線はますます衰退していったのだろうし。


 結局、その日も私から優理君へ掛けることもなく、一日が終わってしまった。

 これでもう二日、優理君の声を聴いていない。

 こんなに寂しくて不安になるとは思ってもみなかった。

 声が聴きたい。今、どうしているんだろう。