もう、何も手につかないほど優理君からの電話を待ちわびている。
勇気を出して自分から掛けてみようかと考えた。電話代が心配だから、とりあえず声を聴くだけ、などと思いながら。
だけど、もしかしたら優理君のお父さんかお母さんが出るかもしれない。ううん、その可能性の方がずっと高いはず。
もし、お母さんが出たら、何て言うだろう。
『どのようなご用件でしょうか』
……えっと、勉強のことでちょっと聞きたくて、だったらどうかな?
それって、どうしても聞きたいなら、普通は先生に聞くよね。第一、迷惑だろうし。
……部活のことで色々と話したいことがありまして、だったら?
登校どころか外出禁止が解けない今、部活どころじゃないし。
……元気ですか?
元気ですよって言われたらそれで終わりじゃないの。
……優理君と直接お話しさせてください!
息子はあなたとお話ししたくないそうです。馴れ馴れしく息子の名前を呼ばないでください、なんて言われたらどうしたらいいの?
