……よく考えてみたら、私と優理君はただの部活仲間であって、どこをどう考えても釣り合わない。

 優理君は自分のことを「養子」だと言っていたけれど、お医者様の息子であることには変わりないのだから、家柄の良い子とお付き合いするのが一般的なのだろう。

 私のような貧乏な家の子とはもう話をしてはいけないと釘を刺されたとか。

 あり得る。

 今までそう言われなかったのがむしろ奇跡だ。

 ただ、固定電話があって、自由に電話を掛けてもうるさく言われない家庭、しかも確実に私しか電話に出ないから掛けやすかっただけ、という理由で今までなんとなく話し相手になってくれていたのだ。

 優理君のお父さんやお母さんから見たら、私の存在は迷惑でしかない。

 名前を呼ばれただけで勝手に舞い上がって、自分だけが特別な存在になったように感じていたけれど、それは私の勝手な妄想だったのだ。



 翌日も、いつもの時間になったけれど、やっぱり優理君からの電話は無かった。