毎日掛かってきていた優理君からの電話が、突然途切れた。

 その日は祝日……秋分の日で、前日の電話では『明日は病院が休みだ』なんていう話をしていた。ごく普通の何でもない会話と、勉強の話、それから一花の弟の話をした記憶がある。

 一花の弟はやはり骨折していて、手術を行って入院中だった。お見舞いに行けない一花は、弟のために毎日手紙を書いて、お母さんに託していたという。

 一花って優しいよね、とか、早く退院できればいいね、なんていう話をしたけれど、優理君はいつものように優しく相槌を打ってくれた、と思う。

 秋分の日の夜、いつもの時間に電話が掛かって来ることはなく、ずっとやきもきしながら待っていたけれど、結局深夜になってもベルは鳴らなかった。

 また明日って言っていたのに。

 もしかしたら具合が悪いのだろうか。

 それとも、いつも長電話していて、お家の人に叱られてしまったんだろうか。

 守屋家はお金持ちだから、電話代の心配なんていらないんだろうけれど、貴重な電話回線と勉強時間を私との無駄話に使うなんて、と注意された、とか。