「こんなことがあったんだよって、私達がおばあちゃんになったら、孫に話してやらなくちゃ」
「やだもう。明日やっと十六になるっていうのに、綺羅はもうおばあちゃんになった自分を想像してるの?」
涙を拭きながら、少しだけ明るい声で一花が言った。
「うん。孫にお年玉見せながら、昔話をするの。ちゃんと聞いてくれなかったらお年玉はあげませんよって」
「うわー、意地悪ばあさんだ。孫に嫌われるよ」
「いいもん。孫は沢山いるから、誰か私のことを好きな孫もいるはず」
「子孫繁栄でおめでたいねぇ……って、そこまで妄想してるの?」
「そうだよ。猫も飼うんだ。ここ、ペット禁止だから飼えないでしょ?」
「いいねぇ。私も大人になってここを出たら、犬を飼ってみたい」
「ね? それまで頑張ろう。孫に囲まれてペットを愛でるリッチなおばあちゃんになるまで」
「うん。……ありがと、綺羅。明日、朝イチでここに来るわ。まだ綺羅のおばあちゃんが寝てる間にね」
「わかった。気を付けて」