「解ってる。私の弟だから、一生面倒見なきゃって思ってる。でもね、終わりが見えないの。私が先に死んじゃったら、一樹はどうなるんだろうって。だったら今すぐにでも一緒に逝けたら、誰にも迷惑かけずに済むし」

 泣きじゃくる一花の背中に腕を伸ばして、ぎゅっと力をこめた。

 優しくて朗らか、家族思いの一花。
 頑張り屋の一花。

 一花も私と同じように、この世から消えて無くなりたいと思っている。その気もちは痛いほど解るけど、認めることはできない。だって、一花はみんなから必要とされているから。

「それはやめて。一花がこの世からいなくなっちゃたら、私が困る」

「綺羅も一緒に逝けば寂しくない」

「やだよ。私、明日誕生日なの。一緒にお祝いしてよ」

 この台詞、自分で言いつつどこかで聞いたことがあるような気がした。

 そうだ。『カルマの火』の前日、優理君に言われたんだ。

 優理君の誕生日からちょうど一か月後、この地方の七夕祭りの夜に私は生まれた。私の名前は七夕の『綺羅星』が由来だとおばあちゃんが言っていたっけ。

「そうだった。明日、誕生日だもんね。お祝いするよ。親友だもん」

 顔を上げないまま、一花も私の背中に両手を回した。