翌朝はおばあちゃんの通院日だった。おばあちゃんはいつものように路線バスで市立病院へ向かった。

 窓から見えるバス停には、沢山の大人が並んでいる。

 外国からのタンカーも来なくなってしまった日本は、灯油やガソリンの備蓄がたったの三か月分しかないとのこと。だから自家用車には今、給油制限がかけられている。多くの人がガソリン節約のためにバスや自転車で通勤するようになった。

 それでも、仕事に行ける人はまだましなのかも知れない。

 ガソリンスタンドで働く人は今、仕事がないだろうし、学校や塾、習い事の先生たちも子ども達が外出禁止でどうすればいいのか困っているのではないだろうか。

 逆に、病院は今、患者さんで溢れているという話だ。

 病は気から、とは言うけれど、みんな体の不調を訴えて病院へ通い始めているらしい。特に子ども達は「眠れない」「頭が痛い」「お腹が痛い」と、小児科が大混雑していると、ラジオのニュースで言っていた。

 外に出られず、学校にも行けない。ラジオしか外と繋がるものがない。

 小さな家の中で誰とも遊べない状況では、ストレスがたまってどこか痛く感じるのもわかる気がする。