松本君が言っていた、優理君が抱え込んでいること。

 私だったら良い相談相手になれるかも知れない、と松本君が考えたこと。

 今時珍しく家に固定電話があり、このご時世で気軽に話ができる貴重な女子であること。

 色んな条件が重なった結果が今の私達の会話に繋がった訳で。


 優理君は私に対して別に何とも思っていないし、彼は人当たりが良くて誰に対しても優しい。

 そういえば、優理、という名前は彼にぴったりだ。

 優しい理系男子。

 優理君の本当の両親が付けてくれた名前の通りに育っていることを、きっと今のご両親だって誇りに思っている。

 私とこんな風に話しているのも、顔が見えなくて気軽に何でも言えて、現状どこにも行けず妙な噂が立てられる心配もないから、だろう。

 お風呂のお湯が少しぬるめで、追い炊きしようかと思って気が付いた。

 おばあちゃんのお風呂の時間が、だんだん長くなってきていることに。ありがとう、気を遣ってくれて。

 やっぱり私はおばあちゃんが大好きだと思った。

 好き、という言葉に反応して、優理君の声が脳内で再生された。追い炊きの必要がなくなるほど、頭が沸騰した。