綺羅って呼ばれた! 

 しかも呼び捨て! 

 何でこんなに照れることばっかり話してるんだろう、今日の私達!

「あああありがと。そう思ってくれるだけで嬉しいよ!」

 噛んだ。

 声が上ずった。

 もうダメだ。でも何で?

『それじゃあ綺羅、また明日』

 またもや下の名前を呼び捨てにされた。しかもかなりナチュラルに。

「うんっ! 明日も、待ってるね」

 
 電話を切ったタイミングを見計らうように、脱衣所を出たおばあちゃんが茶の間へ戻ってきた。

「私もお風呂入ってくるね!」

 赤くなった顔を見られないように、自分の部屋へ急いで戻り、深呼吸をする。

 ゆっくりと引き出しを開けながら息と脈拍を整え、着替えを取ってお風呂場へ向かった。

 毎日電話で話していたけれど、本当に他愛のないことばかりだった今までと違い、今日は優理君――自分の脳内でその名前を再生するだけでも赤面してしまう――の方から、かなり踏み込んだ話をされた。