「今は、どうなの?」
守屋君には、八歳下の弟と十歳下の妹がいると聞いていた。
その二人は実子で、自分だけが養子だと知りながら、今まで暮らしていたということになる。
松本君が言っていた、守屋君の抱えるものとはこれだったのだ。
『幸せだよ。ああでも、今この瞬間にも核ミサイルが飛んでくるかも知れないけどね』
「もう! 人が真剣に聞いてるのに冗談言わないで!」
『いやこれ冗談じゃないから。本気だから俺達外出禁止なんだし』
「そうだけど……でも家の中だけでも幸せでいたいよね。だから大丈夫かなって」
もしかしたら、私がおばあちゃんに気を遣うのと同じぐらい、守屋君も家族に気を遣って生活しているのではないだろうか。
しかも今は家から一歩も出られない。弟と妹も当然家の中にずっといるのだから、ただでさえストレスがたまりやすい状況だ。
誰にも弱音を吐けず、家族の中で孤立していなければいいのだけれど。
