「まずは生きのびて、次の世代が活躍するまでの間、インフラの復興と人口を維持すること、かな」

「……戦争がなければ生きているとは思うけど。でも、本当にそこまで深刻なのかな」


 私にはまだこれが現実だということ自体、信じられない。

 いや、信じたくない気もちの方が強かった。

 悪あがきだと思うけれど、ネットの情報なんて嘘が多いし、総理大臣からの正式発表があった訳でもない、などと守屋君に言ってみた。

 守屋君も信じたくない気もちが強いのだろう。もしかしたら全部デマかも知れない、なんて笑って同意してくれた。


 それなのに。


 いつもの歩道橋に差し掛かり、階段を上った時、私達は『現実』を突き付けられた。

 日が沈み、薄暗くなった空に、見たこともない沢山の流れ星が瞬いていた。

 まるで、車のヘッドライトの明かりが、空から見えているようだった。

 私達と同じように歩道橋で足を止め、スマホをかざしている人もいる。


 いくら田舎だと言っても、こんなに見えるはずはない。

 この流れ星は『星』じゃない。

 人工衛星の残骸が燃えているのだ。

 それでも私は『流れ星』へ祈らずにはいられなかった。 

 私が望んだのはこんな世界じゃない。お願いだから私の昨日の願い事を取り消させて、と。