この先、おそらく一か月以内に、世界中で打ち上げられた全ての高高度衛星が連鎖的に壊れてしまうこと。

 一番懸念されるのは、情報通信システムが全て使えなくなってしまうこと。

 それにより、軍事衛星も使えず、世界中が疑心暗鬼になるであろうこと。

 その結果、戦争が起こり核兵器が使われてしまうかも知れないこと。

 世界の終わりっていう言葉がぴったりの未来予想に、叫び出したくなった。


 それでも容赦なく時間は流れる。

 守屋君の家を出たのは六時半。部活が終わる時間だった。

 迷惑かけちゃうし、まだ明るいから大丈夫だって言ったのに、守屋君が送ってくれた。


 いつもより車が渋滞しているのは、みんな早く帰ってTVで情報収集をしようと考えているからだろうか、とか、ナビが使えなくて道に迷っちゃってるんだろうか、なんて話をしながら歩いた。

 私も守屋君も、沈黙が怖かったのかも知れない。

 世界が変わってしまっていることはもう、目を逸らすことのできない現実。

 だとしたら、私達ができることは何だろうかと、守屋君に聞いてみた。