「え? 固定電話、松本君の家にもあるの?」
今まで部活の連絡も携帯電話しか使ったことがなかった。
「父の仕事の都合で、FAXをよく使うから。学校とか役所は今でもFAXが現役で使われてる」
「そうなんだ……」
もらった付箋紙をポケットにしまった時、部屋のドアが開いた。
「航、どうなった?」
守屋君が戻って来て、すぐにPCの方へ寄ってきたので、私はそっと場所を譲ろうとした。
「その場所でいいよ。上から見える」
私の頭越しに覗き込んでいる。背丈の差を思い知らされた。
「むうう。どうせちっちゃいもん」
冗談めかしてふくれっ面をして見せたのに、守屋君が真顔で返してきた。
「これからはちっちゃい女子の方がいいかも。このままだと俺達なんてすぐ徴兵されるぞ」
「優理の言う通り。ほら、マジでこんなの見ない方が幸せだったかも知れないな」
松本君が検索したサイトに書かれていた内容は、かなり深刻なものだった。
「これ、理系大学の研究者が書いているブログ。信憑性は高いと思うんだけど、どこにも良いことが書かれてない。事実だとしたら、ノストラダムスの大予言が今大当たりって感じかな」
私達三人は、モニターに映し出された文字を信じられない気もちで眺めていた。