気まずい沈黙を最初に破ったのは、守屋君だった。

 椅子から立ち上がり、大きく伸びをして一言。

「……とりあえず、今度こそ航にパス」

 その言葉を受けて、松本君がその椅子に座り直した。

「おう。じゃあ、何が知りたい?」

「そうだな……原因を知ったところでもうどうしようもないし。現状と今後の予想、それの対処法、そんなところかな?」

「動画や画像満載のサイトは重くて無理だな。宣伝の少なさそうなブログに絞って調べるか。それでもあと一時間程度しかないから希望に添えるか怪しい。安本さんは何が知りたい?」

「私? えっと……この状況がいつまで続くか、かな」

「わかった。じゃあまず、現状から検索」

 松本君がタイピングを始めたところで、守屋君はいらなくなったものを物置に戻すと言って、部屋から出て行った。

 その隙を待っていたかのように、松本君が私を近くに呼び寄せた。

「さっきのパスワードの件、多分優理はショックだったと思う。あいつ、ああ見えて色々抱えてるんだ。俺からは言えないけど、あいつに何かあったら教えて欲しい」