「はいはい。じゃあ、おとなしく座って待とうか、安本さん」
結局守屋君に静止され、私はすることもなくぼーっとベッドの上で座って待つことになった。
床にはデスクトップPCが入っていたであろう空箱と緩衝材、ケーブルや延長コードの袋、プリンター本体などが無造作に置かれている。
「昔使っていたPCを引っ張り出してきたところ。俺が今使ってるのは有線LAN対応じゃないから。LANケーブルに接続し直した」
「さすが守屋医院。何でも取ってあるんだな。これ、結構前のデスクトップだよな」
松本君が感心したような声でPCを見つめている。
「ああ。大昔のフロッピーディスクを入れるタイプのも取ってある。昔のデータが出てきたときに、読み込めないと困るからっていう理由で、理事長やってる叔父が物置に保管してる」
「なるほどな。じゃあ、線はどこに繋いでるんだ?」
「ここ。この家結構古いから、TVアンテナと電話回線なんかの接続口がついているんだ」
「へえ。それでこの部屋がこんなに散らかったんだな」
「そういうこと。こんなの今時使わないから、PCデスクで塞いでた。とりあえずこれで無事接続できたから、航(わたる)にパスする」
