守屋君の部屋はいつよもりやや散らかっていた。いや、かなりというべきだろうか。


「あー、ごめん、ベッドの上にでも座ってて。今、接続したところ。あちこちいじってるうちに部屋がぐっちゃぐちゃになった」

「私で良ければ掃除するよ」

 ここは一応、お手伝いを申し出た方がいいだろうと気を利かせたつもりだった。

「いや、安本さんはやめといた方がいい。優理にだって、見られたくないものがあるだろうから」

 松本君に止められた。見られたくないものが何となく想像できてしまって、私は思わず赤面する。

 まさか、と思わず守屋君を見ると、目が合ってしまった。

 ああ、こういう時は声をかける前にさりげなく床の上のものを端に寄せる程度にするべきだったのに。

 これでは気づかないふりができない。気まずそうな表情を浮かべながら、守屋君が大きな声で言った。

「見られたくないものはないけれど、お客さんに掃除させる訳にはいかないから黙って座ってて」

「さすが優理。見られたくないものは事前に隠している、と」

 ニヤニヤしながら、肘で軽く守屋君をつついた松本君がちょっとだけ可愛く見えた。

「……これ以上余計なことを言ったら出入り禁止な」

 じろりと松本君を睨む守屋君。私はただ黙って二人のやり取りを聞いているしかない。