私の疑問に松本君が答えてくれた。

「そう。世界中で人工衛星を使うもの全て機能しなくなるらしい」

 愕然としながら、それでも希望が欲しくて尋ねた。

「これから、どうなっちゃうの?」

「良くて世界大恐慌かな。悪ければ第三次世界大戦で核戦争が起きて『ヒャッハー世界』が到来する、かも」


 松本君が冗談っぽく言う『ヒャッハー世界』をみんなで想像してみたところで、時間切れとなった。

 全く現実味がないけれど、昭和の世代に流行した漫画が、令和の今、現実になりつつあるっていう事実に直面しているらしい。


 教室へ戻ると、相変わらずみんなが重いスマホを手にぶつぶつ言っている。

 何が原因でこうなっているのかを知っている人は、ここにはほとんどいない。

 いつもは教室や廊下で見かける先生達もいないところを見ると、私達が理科室で試みたのと同じことを先生達もやっていたのだろうと予想できた。


 つまり、これは現実なんだ、と。