「ごめん。だけど、ホントによく覚えていたね」
「もちろん。キラキラのきらちゃん、だったから」
「何それ?」
「俺が覚えているのは、児童相談所の相談室、面談室、それから個室に食堂。その中の食堂で、七夕飾りを作ったんだ」
「ああ、うっすら覚えてる、かも」
「自分の誕生日が七夕だっていうのに、産みの母から引き離されて、寂しくて、七夕飾りを見ては思い出して泣いてたんだ」
「私も誕生日が七夕だから、一緒に泣いた」
「そう、俺が七月七日、綺羅が八月七日で、北海道とか東北の七夕の日。それで、俺が本物の七夕生まれだ、いや私だって揉めたんだよな」
「……どうでもいいよね、そんなの」
ああ、思い出した。二人で七夕飾りを見上げてギャン泣きした日のことを。
先生が間に入って、二人とも織姫と彦星みたいねって言って、七夕飾りからちょっと拝借して、私達を織姫と彦星に見立ててくれたんだっけ。