繋がりにくくて五回かけ直した後で、自宅電話の呼び出し音が鳴った。

 おばあちゃんに現金を下ろすように伝えて、理由も説明し終わったところで予鈴が鳴った。間に合った。



 昼休み、お弁当を食べ終わってすぐに、一花と一緒に理科室へ行った。そこにはすでに、守屋君ともう一人、私と同じクラスの松本君がいた。

 まだ昼休みだというのに、科学部一年生全員集合というのは、とても珍しい。

 ちなみに、二年生は現在部員ゼロ、三年生は部長と副部長しかいない。

 廃部寸前だった科学部を何とかしようとしたのが守屋くんで、私達は同じ中学校からの腐れ縁で付き合っただけなのだ。

 みんな考えることは同じだった。

 理科室に一台だけ置いてある実験用PCは、今時珍しく有線LANでネットに接続されている。ちなみに、職員室のPCもセキュリティ対策のため有線だと聞いた。

 つまり、ここのPCだったら、ネットに接続できるのではないかと考えたのだ。


「鍵は誰が借りたの?」

 一花が尋ねると、松本君が軽く手を挙げた。

「ん、俺だけど。実験の準備をしますって言っといたから、その辺にプレパラートでも並べといて」

「了解。じゃあ、綺羅と一緒にやっておくから、PCの方はよろしく」

「あと十五分か。優理、見張っといて」

「ああ」