おばあちゃんが目覚めた嬉しさから、優理君の家へ行くのがすっかり遅くなってしまった。

 心配しているかも知れないと、初めて病院の公衆電話から優理君の家へ電話を掛けた。

 たった一回のコールで繋がった。

 出てくれたのは優理君本人。

 きっと、遅かったから待っていてくれたのだろう。


『はい、守屋です』

「優理君……あのね、ついさっきね……」

『何か、あった?』

「おばあちゃんの意識が戻ったの!」

 そう言った瞬間、優理君は盛大な溜息をついた。

「え? どうかした?」

 なかなか話し始めない優理君。もしかしたらすぐ後ろにご家族がいるとか、そういうこと、だろうか。

『いや、時間かかってるし、泣きながら電話かけてきてるし……悪い知らせだったらどうしようって思ったんだ』

「ああああ! そっか、そんなことを考えさせちゃったんだ! ごめんね! 余計な心配させたんでしょう?」

『まあね。何て言って慰めようかって、家族会議を開こうとしていたところ』

「うわあああごめんなさい! クリスマスイブだっていうのに人騒がせだよね」