おばあちゃんの意識が戻らないまま一か月が過ぎた頃、民生委員だという方が我が家にやって来た。
私がまだ十六歳であること、このままの状態だとひとりで暮らしていくことになるけれど、万が一おばあちゃんが亡くなったらどうするのかといったことについて話し合った。
仮におばあちゃんの意識が戻ったとしても、もうエレベーターのない市営住宅の四階に住むことは難しいし、引っ越すとしても未成年の私では契約できないということを言われた。
私が未成年で、ちゃんとした仕事に就いていないから、できないことだらけで八方塞がりだった。
途方に暮れる私を助けてくれたのは、一花のおばさんだった。
二回目に民生委員が来る日に合わせて我が家に来てくれて、私に代わって話をしてくれた。
おばあちゃんが元気だったころ、もしも自分に何かあったら私を頼むと言われていたこと。
私とおばあちゃんには頼れる身内が誰もいないということを涙ながらに語ってくれて、とにかく自分が里親代わりにこの子を育てますから、と言ってくれたのだった。
お蔭で私は今まで通り、高校へ通うこともできるし、おばあちゃんの看病を続けることができた。