思わずぽかんとして、その言葉の意味を考えていたら。

「意味がわかんないって 顔をしているね」

 私の頭の上に置いた手を、そっとぽんぽんしている。

 優理君にこんなことをされるのは、きっと初めてだと思う。

 離れていたけれど、毎日電話で話すうちに、距離感がおかしくなってしまったのだろうか。

「うん。だって私、優理君に対して何か特別なことをしたような覚えはないもの」

 そう答えてから、もう一度よく考えてみる。

 優理君と初めて会ったのは、中学一年生の頃だ。

 旭小学校出身の私と、中央小学校出身の優理君。

 この二つの小学校から集まった生徒が通うのが、私たちの中学校だった。

 同じクラスになって、『守屋』と『安本』という五十音順で座席が決まっていたから、偶然隣の席になった。

 お互い、理科が好きで実験のグループも同じだったことが親しく話すきっかけだったと思う。

 ちなみに、中学時代から一花とは違うクラスで、松本君はその時まだベルギーの日本人学校へ通っていた。

 その時の私が、何か優理君の『心の支え』になるようなことを言ったのだろうか?

 ……そんな記憶は、全くなかった。