放課後、病院へ行く前に少しだけ部室へ寄ることにした。

 きっと、優理君もここへ来るはず。

 その前に、今日配布されたはずのプリント類を担任の先生のところへ取りに行かなくては。

 それと、進路のしおりをもう一度貸してもらおう。

 ホームルームが終わり、担任の先生とのやりとりを終えてから、私は少し急いで廊下へ出た。

 私の勘は当たったらしい。

 職員室へ鍵を取りに行くと、もう誰かが持って行った後だった。


 理科室の扉を開けると、そこには夕暮れの赤い光を背負った優理君がいた。


 少し、背が伸びて、体つきが以前よりがっしりとしたように見える。

 そういえば、勉強の合間に筋トレもしていると電話で言っていたことを思い出した。

 逆光だから、表情はよく見えない。


「お疲れ様。遅刻して早速バトルが始まったって、航からさっき聞いたよ」

「……もう、知ってるの?」

「しかも上手く立ち回れたって。航が褒めてたよ」

「あれは松本君に上手くのせられちゃったからだよ」

「……俺がその場に居たかった。いつも航にいいとこ持って行かれるからさ」