松本君を見てみると、またしても私をけしかけるような笑みを浮かべている。
その眼は『いいぞもっとやれ』と言っていた。
期待に応えるべく、私はまた口を開く。
「母親に捨てられた私を育ててくれたおばあちゃんがピンチだから、私の優先順位は学校より病院だったの。こんな状況だっていうことを、一花が先生と科学部のみんなに伝えてくれたはず……松本君、私の欠席の理由、先生は何て言ってたの?」
「確か、家庭の事情って言ってたな」
「それじゃあ、みんなに理解されなくても仕方ないね。今度からは私もみんなにわかりやすく自分の事情を説明するけど、聞いてもらえる?」
「聞くよ! 聞くから。ね、みんな?」
教科係の子が、やけくそのように叫んだ。
自分が振ったこの話が、意図しない方向へ進んでしまったせいか、もう終わりにしたいと思っている感じだった。
きっと、松本君にもそれが伝わったのだろう。
「聞くだけで理解できなかったら、遠慮なく俺に言って。絵文字とスタンプがないとわかんないっていう子、最近多いらしいからさ」
「……松本君も一言多いよ」
私は思わずたしなめる。
