きっと私も今、松本君と同じことを考えている。

 私も眼で、彼の問いに答えた。

『ちょっと反撃、してみようかな?』

 松本君もそれに応じるように、周りに集まってきた女子達へ視線を向ける。


「そういえば、安本さん、おばあちゃんは大丈夫? 昨日救急車で運ばれたんだって?」

「うん……。まだ意識が戻らなくて、集中治療室にいるの」

「大変だったんだってね。B組の小谷さんから聞いてたよ」

「一花、松本君に何か言ってた?」

「ああ。『綺羅が他の女子から嫌味言われてたら助けてやってね』って言われた」

 ああ、ここに来て松本君があまりにもストレートにけん制してくれるから、密かに松本君に憧れてた田中さんも臼田さんも小田さんも、みんな苦虫をかみつぶしたような顔で私を睨んでくれてるじゃないの。

 まあ、このクラスともあともう少しでお別れだし、クラス替えでは理系クラスに進むようにして、一花や守屋君と一緒のクラスになれる確率をアップさせよう。

 これ以上我慢していたら、今までの私が可哀想だ。

 私の自尊心が砕ける前に、毅然とした態度を示す必要があると思った。