病院から家までは、駅でバスを乗り継ぎしなくてはならない。

 一度家に戻って制服に着替え、急いでカバンに道具を入れる。
 

 学校に着いた頃にはもう、五時間目が終わる直前だった。

 五時間目終了のチャイムとほぼ同時に教室へ入った私は、みんなからかなり注目されてしまった。

 松本君も私を見て、一瞬驚いた顔をした。


 一花が先生に欠席の連絡をしてくれているはずだから、結局遅刻してきた私を、みんなは不思議に思ったのかも知れない。


「あれ、安本さん、お休みじゃなかったんだ」

 体育の教科係をしている女子が話しかけてきた。正直、苦手なタイプだ。

 ちょっと身構えつつ、返事だけすることにした。

「うん」

「もしかしたら、今日から学校が始まること、知らなかったんじゃないかって噂してたんだよ。ほら、前にもそういうことあったじゃない?」

 ……やっぱり、苦手だ。

 隠そうともしない、私を見下した様子が伝わり、またかと落胆する。

 四ヶ月もあの環境で耐えたのだから、少しは変わっているかと思ったのに。