結局その日は、夜遅くまで病院で過ごした。

 一花のおばさんは準夜勤の時間ぎりぎりまで私に付いていてくれた。

 家で一花と一樹君が待っているだろうから、戻っても大丈夫ですって言ったけれど、私のこともおばあちゃんのことも気になるから、と。

 おばあちゃんの意識は戻らない。

 この病院では、集中治療室に十八歳未満の子どもは入れないきまりがあった。だけど、特別に少しの間入れてもらった。

 沢山の機会がおばあちゃんを取り囲んでいるように見える。

 もう、このまま目を覚まさなかったらどうしよう。


 昨日の夜、一緒に晩御飯を食べて、いつもと同じように過ごしていた。

 何も変わらない、いつもと同じ二人の生活が、いつまでも続くと思っていた。

 だけど、おばあちゃんは違った。

 いつかこういう日が来ることを予想して、そうなった時に私ができるだけ困らないようにと、入院セットを作って、連絡先リストも用意して……。

 そんな気遣いはいらないから、早く目覚めて欲しい。

 私にはまだ、おばあちゃんが必要。頼むから、目を覚まして。

 祈りながら病院で過ごしてる私は、優理君に連絡することをすっかり忘れていた。