「安本です。お世話になっています。それで、容体は……」
おばさんが「看護師」だと自己紹介すると、先生は私にはわからない専門用語を使いながら説明してくれた。
おばさんが解説してくれた先生の話を、頭の中でまとめてみる。
おそらく脳血管疾患……脳梗塞だけれど、今の状況では画像診断ができないためはっきりとしたことはわからない、らしい。
そしてこのままの状態がいつまで続くかということもわからないそうだ。
早くて一週間後、最悪の場合、このまま目覚めずに……ということも多いらしい。
そうならないために、血栓を溶かすための薬を投与して、様子を見ているところだった。
やっぱり、私にできることは何もない。
一花のおばさんが先生の話した内容をメモしてくれた。
「もし、身内の誰かに相談するときは、このメモを見せてね」
冷静に話すこと、聞くことができなくなることを予想しているのだろう。
言葉に出さないだけで、一花のおばさんもいざという時の用意をしてくれているのだ。
