そして三つ目は、これから打ち上げるロケットは、宇宙デブリとなってしまった人工衛星の清掃作業用か、低高度衛星のみとすることになった。

 低高度衛星をいくつか打ち上げることで、広範囲は無理であっても、少しずつ衛星の電波が届くようになるという。

 清掃作業が終わらなければ、高高度衛星を打ち上げることはできない。
 そのため、先進国がノルマを決めて、清掃作業用ロケットと低高度ロケットを打ち上げ、各国で電波を共有するそうだ。

 しかし、ひとつのロケットを完成させ、軌道に乗せて実用化させるまでに、今の技術では少なくとも三年~四年かかるとのこと。

 資源の豊富なアメリカ・ロシア・中国は、「カルマの火」の後、即座にロケット開発をスタートさせたけれど、技術はあるものの資源のない日本をはじめとする国々はそれができなかった。

 でもこの条約のお蔭で、各国が得意とする技術を使い、効率よくロケットを開発できるようになるという。


 こうして、ひとまず第三次世界大戦は回避された。