やっぱり否定はされなかったか。

 でも、いつも冷静な彼らしい。

「最近の優理君、私に厳しいよね」

『そうかな? 俺、綺羅には優しく接しているつもりだけど』

 確かに、時間をかけて勉強を教えてくれたし、毎日電話もかけてくれる。

「う、私もそれは否定しない。いつも感謝してますよ守屋先生!」

『じゃあ、会えるようになったら、直接感謝の気もちを伝えてもらおうかな』

 電話であっても感謝の言葉を伝えるのはちょっと照れ臭いので、茶化すように言ったのに、優理君はさらに上のことを要求してきた。

 でも、直接伝えたいことは感謝の気もち以外にもいっぱいあった。

「……うん。いつ、会えるのかな?」

『きっともうすぐだ。それまでに教科書終わらせてしまおうか?』

「それはちょっと厳しすぎませんか?」

『いやいや、君ならできる!』

「期待外れになりそうで恐ろしいです」

『じゃあ、期待を裏切らないように頑張って。はい、数学の教科書続きから!』


 やっぱり、優理君は私に対して厳しかった。名前の半分は優しさでできているというのに。