お母さんから愛情を注がれなくても、おばあちゃんは私を受け入れ、助け合って生活することができている。
私はおばあちゃんにとって、必要な存在だと思われている。それだけでもう、十分だと思った。
あとは私が大人になって、自分の力で欲しいものを手に入れる努力をすればいい。
そう考えられるようになったのも、色々な人との出会いがあったからこそ。
児童相談所の心理士さんは、とにかく勉強を頑張れとアドバイスしてくれた。
優理君は、あんなに恵まれた環境にいながら、自分の力で勝ち取ったものではないからと、常に努力しているし、とても謙虚だ。
一花は障がいをもつ弟のために、自分が何をすればいいのか考えた結果、作業療法士になりたいと言っていた。
松本君は何度も転校を繰り返し、日本人学校から戻って、自分の居場所を必死に探しながら、友達とは何か真剣に考えたそうだ。
優理君から教わった数学の教科書を眺めながら、両親以外の人間関係にはとても恵まれていることを感謝した。
今夜、何から話そうか。
こんなに晴れやかな気分でいられるのも、本当に久しぶりのことだった。