「普通の女性と、そうじゃないか女性の違いってなに?」

「えっ!」

僕が低い声でそう問うと、美希さんは返答に戸惑ってた。

「結局そんなのは、ただの偏見だよ。そんなの見方や考え方を変えれば、すべて一緒だよ。だから、死んだらダメだよ」

早口でまくし立てるように話しながら、僕は思わず美希さんを強く抱きしめた。美希さんのやわらかな肌が、僕の手の平に伝わる。

「く、栗原さん……」

すぐそばで、美希さんの小さなうなり声が聞こえた。

「あ、ごめん。つい、興奮しちゃって……」

「ううん、いいの。でも、死ぬとは言ってないよ」

美希さんが細い首を左右に振って、クスッと笑った。

「夢で見たんだ。美希さんが、死ぬ夢を。しかも、夢でも同じようなことを言っていたんだだから、つい……」

視線をそらして、僕は小さな声でそう言った。

「そんなに私のことを考えてくれるのはうれしいけど、勉強もしないとダメだよ」

そう言って美希さんは、僕の額に自分の額をくっつけた。美希さんの小さな顔が、すぐそばにある。上目遣いで、じっとこちらを見つめる美希さん。