「お礼なんていらないよ。こうして美希さんと二人で会えることに、僕はうれしいから」

「あはは。栗原さんって、ほんとうにやさしい方なんですね」

美希さんはクスクス笑い、目を細めて僕に視線を向ける。

ーーーーーーーー彼女が笑うと、僕も幸せになる。こんな時間が一生続いたらいいのになぁ、なんてそんなことを思ってしまう。

「でも、私をあまり好きにならない方がいいよ」

突然、美希さんが暗い声でそんなことを言った。

「どうして?」

思わず、僕は心配そうに訊ねた。

「私、普通の女性ではないから。こういう仕事をしてるから、栗原さんには損にしかないよ。だから、会わない方が………」

「そんなの関係ないよ」

僕は遮って、きっぱりとした口調で美希さんに言った。

夢で見た、美希さんの言った言葉が鮮明に思い浮かぶ。

『私、普通の女性じゃないから』

その言葉は、僕の心を深くえぐる。