美希さんはちらちらと、裕也の方に視線を向ける。その裕也は一生懸命、美希さんのノートを手を動かして自分のノートに写していた。

「そうかな?」

「そ、そうだよ。そんなことより、いきなり変なこと言わないでよね。友梨」

美希さんは怒ったような口調だったが、表情は少し照れて笑っているようにも見えた。

僕と話しているときよりも、ずっと楽しそうに感じる。仕事のストレスを、友人たちと発散してるのだろう。

「美希さん………」

僕の切ない声は、今の美希の美希には聞こえなかった。


午前中の授業を終え、今は昼休みを迎えていた。しかし、授業中は辛かった。

いつも授業中は辛いけれど、僕の真後ろの席に座っている美希さんのため息が聞こえたのだ。原因はわかっている。裕也と話をしたいのだろうけれど、僕が間に座っているため彼と話ができないのだ。それが、彼女にとって辛いのだろう。そして、僕にとっても辛かった。