「裕ちゃん、またぁ」

苦笑いを浮かべた美希さんに〝裕ちゃん〟と言われた人は、さわやかな男性だった。

運動をしているのだろうか、陽に焼けた小麦色の肌をしていた。やせ型で、身長は僕よりも高かった。ワックスで黒い髪の毛をおしゃれにセットし、整った顔立ちをしていた。

ーーーーーー誰?

彼を見て、僕は疑念を抱いた。そして眉をひそめて、美希さんに〝裕ちゃん〟と言われた男性を見た。

「あ、ごめん。栗原さん。裕ちゃん、そこは栗原さんの席だから………」

「あ、そうなの。悪い」

軽く謝って、彼は僕の席からどいてくれた。

ーーーーーー美希さんとは、どういう関係なんだろ?

僕は、不安そうにそう思った。