「そんな大事なこと、僕なんかに教えていいの?それ、教えていい情報ではないよね。特に同じ学校に通う、クラスメイトなんかに。だって僕が、学校のみんなに美希さんの仕事をバラすかも………」

「私、信じてますから」

僕の話を遮って、美希さんがきっぱりと言った。彼女の潤った瞳に、強い意志を感じる。

「それにもしバラしたら、栗原さんまでピンチになりますよ」

「それもそうかもしれないけど………」

美希さんにそう言われて、僕の口は自然とそう言った。

ーーーーーー確かに、そうだ。僕だって、こんなことを学校で言えるわけがない。それに言ったところで誰も僕のことは信じないし、美希さんとの関係を悪くするだけだろう。

「これで私たちは、秘密の共有者ですね。二人ともなんだか悪いことをしてる気分で、ドキドキしますね」

また、親しげな口調。そう言って美希さんは、僕の顔にむっと近づける。

近すぎて、彼女のピンク色の唇と僕の唇が重なりそうな距離。近すぎて、彼女の白い肌に触れそうな距離。たったそれだけで、僕の心臓の鼓動がいつもよりも速くなるのがわかる。

「………」

僕は、ゴクリと喉を鳴らした。

ーーーーーー言うわけがない。てか、言えるわけがない。だって僕は、彼女のことが好きなんだから。