「そうですよ」

美希さんはクスクスと小さく笑いながら、短く言った。

「………」

僕は頭の中で、学校の先生から渡された反省文を思い出した。

ーーーーーーどうやら反省文を書かないと、学校には戻れないらしい。書かないと、美希さんとも学校では会えない。

「それは、嫌だなぁ」

開いた僕の口から、本音が漏れた。

「でも、よかったです。栗原さんが、退学にならなくて。栗原さんがハサミを投げてケガをした被害者の男子生徒も思ったよりも軽傷で済み、来週から学校に来る予定らしいです」

ーーーーーーどうやら、そうらしい。

「………」

誰にでも優しくできる、美希さん。僕にはない優しい心を持っている美希さんに、恋愛感情が芽生える。それと同時に、僕のいない今の学校生活を楽しんでいると思うと、どこか切なくもなる。

ーーーーーー早く、学校で美希さんと会いたい。

口には出さず、心の中で僕はそう願った。