僕はサイフから小銭を取り出し、自動販売機のコイン投入口に百二十円を入れた。それと同時に、押しボタンスイッチが緑色に光る。

僕は売られている数十種類のドリンクの中から、缶の飲料水を人差し指で押して購入した。ガコンという音がなり、自動販売機の取り出し口に冷えた飲料水が落ちた。プルトップを引っ張って開け、飲料水を口に入れて飲んだ。カラカラだった口の中に冷えたジュースが駆け抜け、喉が一瞬で潤う。

「ふぅ」

僕は、大きく息を吐いた。

「先客の二人様、どうぞ」

そのとき、黒色のカーテンが開いた。男性従業員が中に入って来て、僕以外の二人を先に案内する。そして二人は男性従業員に案内され、待合室から出た。

「お客様は、もう少しお待ちください」

男性従業員にそう言われて、僕はもうしばらくソファーに座って待合室で待機した。

左手につけてある、デジダル式腕時計に僕は視線を落として確認した。時間は、午後二時七分だった。