『今朝から、悲しいニュースをお伝えしなければなりません。女子大生が、同じ大学に通う男子生徒数人に性的暴行を加えられていたことがわかりました。それが原因で、女子大生はうつ病を発病し、大学をしばらく休学しているようです。女子大生のお腹には胎児も宿っており、女子大生の両親は大学側と男子生徒を訴える方針を固めています。これについて、男子生徒たちは否定しています。女子大生が風俗で働いていたため、自分たちの子供とも限らない。性的暴行は、合意の上だったと……』

食い入るように液晶テレビの画面を見ていると、「ダラダラ飯食ってんと、早く学校に行く準備しろよ。未来」と、怒った声が右から僕の耳に鋭く聞こえた。

「………」
僕は、声のした方に視線を向けた。視線の二メートル先に、険しい表情を浮かべた父親の姿が僕の瞳に映った。

父親はダイニングチェアに座りながら、白色のマグカップから湯気がゆらゆらと出ているコーヒーをおいしそうに味わって飲んでいる。