ーーーーーー正午過ぎーーーーーー。

左手につけてある、デジタル式腕時計に僕は視線を落として確認した。今の時間を確認したら、午後二時三十分だった。

「二時三十分か………」

人通りの多い道から抜け出して、僕は人通りの少ない細い路地を歩いていた。右側には桜の木が見え、ピンク色の桜がきれいに咲いていた。そのすぐ近くには、川も流れている。歩いている人が立ち止まって、スマートフォンでその景色を撮影している姿が見える。

細い路地を歩いていると看板が置かれているのが見え、その真横に中年男性が立っていた。なんの店なのかはわからないが、僕は道なりに進んで歩く。

「お兄さん、どうですか?」

僕が横切ると突然、そこに立っていた中年男性から声をかけられた。

ーーーーーー声をかけられた。なんの店だろう?てか、僕に声をかけたんだよな?

僕の心臓が一瞬ドキッとなり、不安そうな表情になる。