「はぁ」

僕の口から、自然とため息が漏れた。

どちらかというと、謹慎処分はうれしかった。平日なのに学校を休めるということと、朝から口うるさい父親と母親の姿を見なくていいからだ。けれど、なぜかうれしいという気持ちと同時にしんみりとした気持ちもあった。

「美希さん………」

僕の開いた口から、彼女の名前が出た。今の僕は自由な休みよりも、彼女に会う方が楽しみだった。

「反省文………」

僕に課せられた問題を、弱々しい声でつぶやいた。

この言葉を言うだけで、モチベーションが一気に下がる。

僕は近くに置いてあった、黒色の学生カバンの中から反省を手に取った。反省文は数枚あり、これを書かない限り、学校には行けない。いや、美希さんには会うことはできない。

「まぁ。反省文ぐらい書かなくても、二週間経てば学校に戻れるだろう」

僕は都合よく解釈して、反省文をもう一度カバンの中に戻した。そしてパジャマから、動きやすいラフな服装に着替えた。

上はカジュアルな白いTシャツを着て、その上に薄手の上着を羽織る。下は、メンズの青いジーパンを履いた。それからサイフにお金を入れ。外に出た。