「ゲホゲホ」

その場に倒れ込んで、僕は苦しくて咳き込む。腹部に痛みが残り、僕はしばらく起き上がることができなかった。咳き込んでるのと同時に、ポケットから僕の療育手帳がぽろりと落ちた。

ーーーーーヤバイ!

その瞬間、僕の全身の血が凍りついた。そして、手を伸ばして慌てて拾おうとした。

「なにこれ、栗原?」

しかし、その前に不良生徒に落ちた療育手帳を先に拾われた。

「え、これお前。療育手帳やん」

それを見た不良生徒はバカにしたように笑い、療育手帳を周囲の生徒たちに見せびらかす。

「ははは、めずらしいの持ってるやん」

「いらんけど」

「どうりで、おかしいと思ったわ」

「この高校やめて、支援学校に編入した方が自分の身のためやぞ」

四方八方から、差別的な発言がマシンガンのような容赦なく僕の耳に聞こえる。

ーーーーーー両親のせいだ。だから、嫌だったんだ。こうなることはわかっていたから。

僕の気持ちを理解してくれない両親に、噴き出しそうな怒りと憎しみを感じた。そして、不良生徒たちにやり返せない自分の非力さ。